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26.3.23 海外進出の第一歩!中小企業が知っておくべき海外取引の決済方法

26.03.23

海外進出は、新たな市場を開拓し、事業を大きく成長させるチャンスです。しかし、国内取引とは異なり、言語や商習慣の違い、そして何よりも「代金回収のリスク」が大きな壁となります。特に、初めての海外取引では、どのように安全にお金のやり取りをすれば良いのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、海外取引で使われる主な決済方法の種類と、リスクを避けて安全に取引を始めるためのポイントを分かりやすく解説します。

 

海外取引で使われる主な決済方法

海外取引の決済方法は、大きく分けて「前払い」と「後払い」に分かれます。輸出者である私たちにとっては、取引先の国や企業規模にかかわらず、代金を先に受け取れる前払い(前受け)が最もリスクの少ない方法です。しかし、現実には多くのケースで後払いの決済方法が使われています。

後払いの主な決済方法を、輸出者にとってのリスクが低い順に見ていきましょう。

  1. L/C(信用状)決済

L/C決済は、「書類と引き換えに銀行が支払いを保証する」最も安全な決済方法です。

輸出者が指定された船積み書類(L/Cに記載された必要書類)を準備し、銀行に提出することで、取引先の信用力に関わらず、銀行が代金の支払いを確約してくれます。これにより、輸出者は代金未回収のリスクを大幅に減らすことができます。

 

中小企業にとっての現実:L/C決済のハードル

L/C決済は安全性が高い反面、中小企業にとってはハードルが高い場合があります。銀行にとって、万が一の際の保証義務はリスクとコストが伴うため、中小企業との取引では積極的にL/Cを推奨しない傾向にあります。会社の信用力が相当高い、あるいは銀行との長年の取引実績がある場合でないと、L/C決済をスムーズに利用するのは難しいのが現状です。

 

  1. D/P・D/A決済

D/P(支払書類渡し)やD/A(引受書類渡し)は、L/C決済のような銀行の支払保証はありません。

この方法では、輸出者が為替手形と船積み書類を取引銀行経由で輸入者の取引銀行に送付します。輸入者は、D/Pの場合は代金の支払いと引き換えに、D/Aの場合は手形を「支払う」と約束する署名(引受)と引き換えに、船積み書類を受け取ります。これにより、書類を渡す前に代金回収または支払いの確約が得られるため、後述のTT決済よりは安全性が高いと言えます。しかし、銀行が支払いを保証するL/C決済に比べると、輸入者自身の信用力に代金回収が左右されるリスクがあります。

 

  1. TT(電信送金)決済

TT決済は、輸入者が銀行を通じて直接輸出者の口座に代金を振り込む、最もシンプルな決済方法です。

しかし、L/CやD/P・D/Aのように、書類の引き渡しと代金回収を連動させる仕組みがありません。そのため、商品の発送後も代金が振り込まれないリスクがあり、輸出者にとっては最もリスクが高い方法です。

 

新規取引で信用がない企業との初取引に適した決済方法は?

海外の新規取引先と初めて取引する際、相手の信用力が未知数なケースがほとんどです。このような状況で最も推奨されるのは、やはりL/C(信用状)決済です。

しかし、前述の通り、中小企業がL/C決済を希望しても、銀行や取引先の都合で利用できない場合があります。その場合は、以下のような対策を検討しましょう。

 

  • 代金の一部を先に支払ってもらう前払い:取引額の一部を先に振り込んでもらい、残りを後払いにすることで、リスクを分散させます。
  • 少額からの試験的な取引:まずは少額の取引から始め、取引先の支払い能力や信頼性を確認します。

 

リスクを減らすために:貿易保険や銀行サービスの活用

リスクをできる限り減らしたい場合には、貿易保険の活用も視野に入れましょう。

日本貿易保険(NEXI)をはじめとする貿易保険を利用することで、代金未回収のリスクを軽減できます。また、国際ファクタリングやフォーフェイティングなど、銀行が提供するサービスも有効なリスク軽減策となります。

  • 日本貿易保険(NEXI)の貿易保険:日本の企業が行う海外取引(輸出・投資・融資)の輸出不能や代金回収不能をカバーする保険
  • フォーフェイティング:輸出者が将来受け取る予定の代金(輸出債権)を銀行に売却し、その代金を銀行が支払う仕組み
  • 国際ファクタリング:銀行やファクタリング会社が世界各国のファクター会社と連携し、海外の販売先(バイヤー)の信用調査を行い、その信用リスクを保証するサービス

まとめ

海外取引の決済方法は様々で、それぞれの方法にメリットとリスクがあります。特に初めての海外取引では、L/C決済など、銀行が支払いを保証してくれる安全な方法を選ぶことが大切です。

しかし、L/C決済には中小企業にとってのハードルも存在します。そのため、取引先や銀行の状況に合わせて、代金の前払い要求や、少額からの試験的な取引、国際ファクタリングなど、柔軟にリスク回避策を組み合わせることが重要です。

海外決済について気になる方は、お気軽にご相談ください。

 

参考文献

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