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26.1.27 タイでの拠点設立|駐在員事務所・支店・現地法人の違いと外資100%の可能性とは?

26.01.27

タイは東南アジアの中でも日本企業の進出先として非常に人気が高い国です。豊富な人材、安定したインフラ、ASEAN自由貿易圏へのアクセスなどの利点に加え、最近ではリサイクルやIT分野など成長市場での注目も集まっています。

本記事では、日本の中小企業がタイで拠点を設立する際の選択肢(駐在員事務所・支店・現地法人)について、それぞれの特徴、必要な手続き、外資規制との関係、メリット・デメリットを整理して紹介します。

拠点設立の選択肢①|駐在員事務所:低リスクで市場調査を始めたい企業向け

「まずは市場を見極めたい」という企業におすすめなのが駐在員事務所(Representative Office)です。タイ国内での収益活動はできませんが、本社のための市場調査や品質管理、現地パートナーとの調整といったサポート業務は可能です。法人税は課税されず、最低限のコストで現地の様子を把握することができます。

 

設立手続きも比較的簡易で、外資100%でも許可が下ります。ただし、請求書の発行や営業活動は禁止されているため、販売やサービス提供を考える場合は他の形態を検討すべきです。費用は本社からの送金のみで賄う必要があり、タイ語での申請も求められるため、ローカルの専門家との連携が不可欠です。

 

拠点設立の選択肢②|支店(Branch Office):限定的に営業も可能だが要件は厳しめ

タイで一定の営業活動を行いたい場合は支店(Branch Office)も選択肢の一つです。親会社の名義でビジネスを展開でき、収益活動も可能です。ただし設立には外国事業ライセンス(FBL)の取得が必須となり、5年で合計500万バーツ以上の資本金が求められます。

 

また、支店は親会社と一体の法人格であるため、法的責任が本社に帰属する点には注意が必要です。設立には時間も費用もかかるため、特に中小企業が選ぶにはややハードルが高い形式です。製造業や輸出限定の貿易業であれば、FBL不要で設立できる場合もあります。

 

拠点設立の選択肢③|現地法人(100%外資企業):長期展開なら最も柔軟な形

本格的な事業展開を見据える企業にとって、現地法人の設立(Private Limited Company)は最も一般的かつ柔軟な形態です。原則として外資出資比率は49%までに制限されますが、BOI(投資委員会)による奨励事業認定や外国人事業ライセンス(FBL)取得により、100%外資での法人設立も可能です。

 

<外資100%での設立が可能な例>

製造業:FBA(外国人事業法)の規制対象外。自由に設立可能。

※ただし、FBAの適用外とされる製造業の一部でも、委託生産や金型・メッキなどはサービス業と見なされ、FBA対象になるケースがあるため注意が必要。

IT分野(クラウド、AI、ソフトウェア開発など):BOI対象業種なら100%出資OK。

リサイクル品販売:廃棄物処理・再資源化はBOI奨励対象。事前許可があれば外資100%可。

 

現地法人の設立には、最低資本金200万〜300万バーツ、株主3名以上・取締役1名以上(居住者要)が必要となります。商務省DBDへの登録が義務付けられ、会計・税務も現地基準に準拠する必要があります。なお、土地の所有は原則不可(BOI認定企業を除く)などの制限もあります。

まとめ

タイでの拠点設立には、目的と事業段階に応じて最適な形態を選ぶことが重要です。

まず市場調査をしたい場合:駐在員事務所

小規模でも営業を行いたい場合:支店(FBL必要)

長期的かつ本格的に展開したい場合:現地法人(BOI活用で100%外資可)

 

特にBOIの制度は中小企業にとっても有効なツールで、外資規制の回避だけでなく、税制優遇や外国人のビザ取得支援など多くの恩恵を受けることができます。

設立には法律・税務・許認可の専門知識が必要になるため、JETROの現地窓口や、信頼できる現地法律事務所との連携が不可欠です。海外展開の第一歩を、慎重かつ戦略的に踏み出しましょう。

 

参考文献

JETRO「外資に関する規制」

BOI(タイ投資委員会)公式サイト(英語)

JETRO「外資に関する奨励」

JETRO「外国人事業法にかかる取り締まりに注意」

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