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25.8.18 越境ECの将来性と活用方法〜東南アジア編〜

25.08.18

急成長するデジタル経済と日本製品への高い信頼を背景に、東南アジア市場での越境EC展開の可能性を探る
国内市場の成熟化や人口減少により、多くの日本企業が海外市場への進出を模索しています。特に、東南アジアはデジタル経済の急成長と日本製品への高い信頼を背景に、越境ECの有望な市場として注目されています。

東南アジア市場の魅力
東南アジア(ASEAN)地域は、以下のような特徴を持つ魅力的な市場です:
人口規模:約6.8億人の人口を抱え、若年層が多い
デジタル化の進展:スマートフォンの普及とインターネット接続の向上
経済成長:中間所得層の増加と購買力の向上
これらの要因により、東南アジアは越境ECにとって非常に有望な市場となっています。

 

越境ECの将来性
最新のe-Conomy SEA 2024レポートによると*1 、2024年の東南アジアのデジタル経済の収益は1,000億ドルに達し、2021年以降27%の年平均成長率で成長しています。この成長は、eコマース、旅行、交通、メディアなどの分野によって支えられていますが、 特にeコマース分野は急速に拡大しており、今後も成長が期待されています。

 

東南アジア最大eコマースプラットフォーム”Shopee”で人気のカテゴリ
東南アジアの消費者の間で人気のある商品カテゴリは以下の通りです*2 :
美容・コスメ:高品質で信頼性のある日本製品が好まれる
ヘルスケア:健康志向の高まりとともに需要が増加
食品・飲料:訪日外国人の数が増えているため、日本のお土産食品の越境EC購入が増加
これらのカテゴリは、日本企業が東南アジア市場で成功するための重要な分野となっています。

主要ECプラットフォームの比較
東南アジアでの越境EC展開において、主要なプラットフォームは以下の通りです:
Shopee(Sea Group)
特徴:東南アジア最大のeコマースプラットフォームで、物流と支払いのインフラが整備されている
日本からの越境ECサポートも日本語対応している
対応エリア:インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシアなど
最新情報:2024年第4四半期の売上高は前年同期比37%増の49.5億ドルを記録し、eコマース部門(調整後)EBITDAは1億5,200万ドルの黒字となった *3
Lazada(Alibaba Group)
特徴:中高価格帯の商品に強く、物流と支払いのインフラが整備されている
対応エリア:タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポールなど
最新情報:2024年7月に初の月間EBITDA黒字を達成し、収益化への道を進んでいる *4
Tokopedia(GoTo Group)
特徴:1,200万店以上が加盟するインドネシア国内最大のECモールで、ローカル密着型のサービスを提供
対応エリア:インドネシア限定
最新情報:2024年、GoToは初の年間利益を達成し、Tokopediaの収益性が向上している *5

プラットフォーム選びのポイントとしては、複数国で展開したい場合はShopee、インドネシア市場に特化したい場合はTokopedia、中〜高価格帯の商品を安定して売りたい場合はLazadaが有力です。ただし、インドネシアでは近年、越境EC(電子商取引)に対する規制が強化されています。現在販売できる商品金額の制限やSNSでの販売禁止が定められています。安価な海外製品の流入を制限し、インドネシア国内中小企業の競争力を保護する狙いがあります。

 

越境ECを始めるうえでの留意点
成功の鍵は、「現地消費者の文化・生活に寄り添う」ことです。そのために以下の対応が求められます:

多言語対応:英語だけでなく、現地語への対応
決済手段の多様化:クレジットカード、電子ウォレット、代金引換など現地市場に即した対応
配送スピード・追跡対応の明確化:迅速で信頼性のある配送サービスの提供
現地インフルエンサーを活用したプロモーション:SNSを活用したマーケティング
現地規制の対応:化粧品や医薬品、食品などの取扱い商品は現地当局(例:タイFDA、マレーシアNPRAなど)への登録・許認可が求められる場合がある。イスラム教圏では食品・化粧品にハラール認証が必要なケースもある。

また、各国で法制度・物流状況が異なるため、初期は信頼できる現地パートナーや支援事業者との連携が欠かせません。

 

まとめ:東南アジアは日本企業にとって“最も可能性のある市場”の一つ
東南アジアは、人口、経済、デジタル活用の3拍子が揃った成長市場です。日本企業の製品はその「品質」と「ブランド力」で現地消費者から高い信頼を得ており、越境ECを通じて新しい売上の柱を築くには最適な地域といえるでしょう。
市場に合わせたチャネル選定、ローカライズ、マーケティング施策を正しく行えば、中小企業でも現地に根差したビジネス展開が可能です。東南アジア市場での越境ECをお考えの際は、是非一度ご相談ください。

 

参考文献
1*Google・Temasek・Bain & Company「e-Conomy SEA 2024」レポート
2*Shopee Japan | Shopeeが東南アジアと台湾における第一四半期の日本越境商品のショッピングトレンドを発表
3*Sea Limited 2024年第4四半期および通年決算報告
4*Alibaba Group 2024年年次報告書
5*GoTo Group 2024年第4四半期および通年決算報告

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