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25.12.8 インバウンドを活かした地方中小企業の海外展開戦略
25.12.08観光庁や日本政府観光局(JNTO)のデータによると、2024年には月間400万人近くの外国人が日本を訪れており、購買・飲食・文化体験など幅広い場面で消費活動が活発化しています。
ところで、「すでに外国人観光客に商品を買ってもらった経験がある」中小企業は、自覚がなくてもすでに“海外需要に対応できている企業”だと言えます。
このような企業は、今ある経験を土台に、越境ECや海外発信といった次の展開にスムーズに進むことができます。本記事では、今こそ地方の中小企業がとるべき戦略について解説します。

もう始まっている「海外との接点」:自社の状況を見直してみませんか?
JNTOの2024年4月の統計によれば、最も多く日本を訪れている国は中国(73万人)、韓国(71万人)、台湾(44万人)です。観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2023年)」でも、訪日客の約77%が「観光・レジャー」を目的としており、特に地方の自然・文化体験・食事に価値を感じている傾向が明らかになっています。
もし、あなたの店舗で外国人観光客が商品を購入していれば、それはすでに自社の商品が海外のニーズに“現場で通用した”証拠です。難しい海外市場調査やマーケティング分析を行わずとも、「実際に買った」「満足した」顧客が自社に訪れてくれている──これは海外展開における圧倒的なアドバンテージです。
その一歩を次に活かす:ヒアリングは強力な「市場調査」
市場調査というと、多くの企業は高額な外部委託やデータ分析をイメージするかもしれません。しかし、すでにインバウンド顧客が自社の商品を買っているならば、“生の声”を直接聞くチャンスがすでにそこにあるのです。
例えば、簡単なアンケートやSNSでのフォローアップ、店舗での声かけを通じて「なぜ買ったのか」「どこで商品を知ったのか」「帰国後も欲しいか」といった質問をすれば、極めて有益なフィードバックが得られます。これは海外市場向けの商品開発や情報発信の指針となり、越境ECや海外販路開拓の判断材料として活用できます。
しかも、インバウンド客はすでに「訪日して購入している」実績があるため、ターゲットとしての信頼性も高く、単なる仮説ではない“確証ある市場”に対して動き出せるのが強みです。
データに基づく発信と越境EC:地方だからこそ勝負できる
観光庁のデータでは、外国人旅行者の約50%以上が帰国後も日本商品に関心を持ち、SNSやECでの再購入を希望しているとされています。また、JETROの報告では、訪日中のブランド体験から帰国後のEC購入につなげた事例が増加しています。
こうした傾向は、地方企業にとっても大きなチャンスです。たとえば、少量生産の食品や工芸品など、都市部ではあまり知られていない商品こそ、「現地での体験」と「オンライン再購入」がセットになったときに競争力を発揮します。インバウンド客にとっては「現地でしか手に入らない特別感」が購買動機となりやすいため、その希少性こそ地方企業の武器になります。
増大するインバウンド需要を活用することで、地方の中小企業は低コスト・低リスクで海外市場への段階的な進出が可能になります。

海外展開は「今いる顧客」から始められる
インバウンド客に商品を購入してもらった経験がある企業は、すでに海外市場との「つながり」を持っています。その事実を踏まえ、「あなたの会社が次に踏み出すべき一歩は何か?」を考えてみてください。
購入者の母国はどこか?
どんな商品が人気だったか?
どこで商品を知ったのか?
こうした問いに答えられれば、海外展開の計画はより現実的で具体的になります。市場調査を始める前に、まずは自社に来てくれた顧客に聞くこと。これが地方中小企業にとって、最も効果的で、最も現実的な第一歩です。
まとめ
外国人観光客への販売経験がある企業にとって、海外進出は非常に有効な戦略です。これは、すでに高い市場ニーズが存在することを示しているためです。
インバウンド需要は今後も増加傾向にあるため、まずは国内での売上向上のために顧客ニーズを具体的に把握することが重要です。加えて、中長期的には自社商品を海外展開することも視野に入れることで、さらなる市場拡大と売上拡大を目指せます。
当社では、インバウンド向け事業から海外展開への移行を支援するため、現地の輸入規制、各種規制、および進出国の選定方法など、戦略策定に関する支援を行っています。ご相談はいつでも当ウェブサイトからお問い合わせください。
参考文献;


