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25.11.24 中小企業のための「越境EC」のはじめ方:海外販路を広げる第一歩

25.11.24

世界市場を相手にビジネスを展開したい。けれど、「現地に拠点を持つのはハードルが高い」と感じる中小企業にとって、今最も現実的な選択肢が「越境EC(海外向けネット販売)」です。

中小企業の越境EC参入率は、2021年の28%から2024年には50.6%と近年大幅に増加しています。

本記事では、「越境ECってなに?」という基本から、実際に始めるための手順、注意点まで、分かりやすく解説します。

 

越境ECとは?

越境ECとは、「国境を越えて商品やサービスをオンラインで販売すること」を意味します。たとえば、日本の企業がAmazon.com(米国)やShopee(東南アジア)に出店し、現地の消費者に直接商品を販売するのが典型例です。

現地法人や実店舗がなくても、インターネット上で世界中の顧客にアプローチできるのが大きな魅力です。特に中小企業にとっては、低コスト・低リスクで海外展開ができる「最初の一歩」としてテスト販売やスモールスタートに活用されています。

どうやって始めるの?

越境ECを始めるには、大きく分けて3つの方法があります。

 

① 海外ECモールに出店する(Amazon、Shopee など)

最も手軽で人気なのが、海外向けECモールへの出店です。初期費用や月額手数料がかかるものが多いですが、集客力や決済・配送の仕組みが整っているため、初心者でも始めやすいです。

代表的なプラットフォーム:

【アメリカ】Amazon.com、Walmart.com、ebay

【アジア】Shopee、Lazada

【欧州】Allegro

 

② 日本発の越境ECモールを活用する

例えば、JETROが運営する「Japan Street」や、楽天の「Rakuten Global Market」など、日本企業向けに設計された越境ECモールもあります。日本語対応でサポートも手厚く、海外取引に不慣れな企業でも安心です。

特に「Japan Street」は、ジェトロが招待した海外バイヤー(海外に販路を持つ国内のバイヤーを含む)専用のオンラインカタログサイトで、5,800人以上の海外バイヤーが日本の商品を探しています。BtoBを考える企業にとってメリットが大きく、商品情報と商品画像等を登録するだけで、 世界中のバイヤーに商品を紹介することができるため手軽です。

 

③ 自社ECサイトで海外対応する

将来的にブランディングや利益率の最大化を目指すなら、自社ECサイトの海外対応も選択肢になります。多言語・多通貨等ローカライズ対応をすることで、D2C(Direct to Consumer)ビジネスを構築できます。ただし集客や配送については自社で対応する必要があるため、EC担当者を1名構えられる場合におすすめです。

 

必要な準備は?

越境ECを始めるには、以下のような準備が必要です。

商品選定:海外ニーズが高いものを優先(例:健康食品、日本製コスメ、生活雑貨など)

翻訳・ローカライズ:商品説明・サポートをできれば現地語で対応。英語対応は最低限必要。

配送手段の確保:国際配送(EMS、DHL、FedExなど)や現地倉庫との提携を検討

関税・規制対応:国によっては輸出入規制や表示義務があるため要確認

決済方法:PayPal、クレジットカード、現地電子マネーなどへの対応

 

また、JETROや中小機構では、越境EC支援のための補助金やセミナーも実施されており、初期投資を抑えたい企業にとっては強い味方です。

気をつけるべきポイントは?

越境ECは魅力的な反面、以下のような落とし穴もあります。

返品・トラブル対応が煩雑:距離がある分、返品対応に時間とコストがかかります。

為替リスク:為替変動によって利益が目減りする可能性があります。

関税負担の所在:誰が関税を負担するのか(企業 or 消費者)を明示しておく必要があります。

商品レビューの影響が大きい:特にAmazonなどでは、レビューが販売に直結します。

 

越境ECは“始めやすく止めやすい”進出手段

地政学的なリスクや突発的な政策変更が続く中、越境ECは「情勢に応じて販売を縮小・停止しやすい柔軟な手段」です。アメリカ市場で関税リスクが高まった場合でも、アジアや欧州に販売を切り替えるといった対応が比較的簡単に行えます。

その意味でも、越境ECは中小企業にとって、「小さく始めて、世界に広げる」ための非常に有効な戦略と言えるでしょう。

 

参考文献:

Paypal 中小企業によるEコマース活用実態調査2024

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