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25.10.13 【インドネシア化粧品市場】販路戦略と注意すべき越境EC規制
25.10.13ASEAN最大級の人口と安定した経済成長を背景に、インドネシアの化粧品市場は今、世界中の企業から注目を集めています。特に若年層の多さ、SNSリテラシーの高さ、EC（電子商取引）の急成長という3要素が揃っており、日本企業にとっても大きなビジネスチャンスが広がっています。
本記事では、インドネシア市場における有望な販路と、最新の越境EC規制の注意点について解説します。
有望な販路：美容特化EC「Sociolla」「BeautyHaul」
①Sociolla：D2C×オムニチャネルの代表格
2015年創業のSociollaは、インドネシアの美容・パーソナルケア分野に特化したECプラットフォームで、国内60店舗以上の実店舗と連動するオムニチャネル戦略を展開。SOCOというスーパ―アプリを通じ、ユーザーレビューやポイント制、パーソナライズ推薦など、顧客体験を高める機能が充実しています。
さらに、公式メディア「Beauty Journal」でのレビュー配信や、ママ向けライン「Lilla by Sociolla」など、ニッチ層を狙った多角展開も進んでおり、進出ブランドにとって有効なマーケティング支援が期待できます。
②BeautyHaul：人気ブランドとの関係性と技術活用に強み
BeautyHaulは、SomethincやSkintificといったローカル人気ブランドの販売実績が高く、AIを使った肌診断機能も提供しています。BPOM認証済み商品しか扱わないため、信頼性と安全性を重視する現地消費者との相性が良いECサイトです。アプリからのアクセスもスムーズで、スマホ中心のインドネシア市場にフィットしています。
これらのECに出店・提携することは、現地消費者への認知拡大とローカライズ商品の販路確保において非常に効果的です。
越境ECの注意点：「MoTR第31号（2023）」に要注意
インドネシアでは、中小企業の保護と公正競争の確保を目的とした越境EC規制が急速に強化されています。特に重要なのが、2023年9月に施行された「商業大臣規則第31号（MoTR 31/2023）」です。この法令は、外国のECプラットフォームや出店企業に対し、以下のような制限と義務を新たに課しています。
【MoTR 31/2023の主なポイント】
最低価格規制：越境ECを通じて販売される商品は、最低価格が10ドル（約15万ルピア）以上でなければ販売できません。安価な化粧品（例：リップ、フェイスマスク等）には注意が必要。
販売登録義務：すべての越境EC事業者は、インドネシア政府に対し、販売商品・ブランド・原産国情報の登録義務があります。
BPOM認証が前提：化粧品カテゴリーについては、販売前にBPOM（食品医薬品監督庁）からの許認可取得が必須です。
現地法人/代表者の設置：プラットフォームまたはブランドが現地で販売を継続するには、インドネシア国内に代表拠点や責任者（代理店）を置く必要があります。インドネシアでの法人設立は日本企業が自社出資100%で設立できない規制があるため、現地パートナーが必要となります。
これらの法改正により、「とりあえず越境ECで売ってみる」モデルは極めて難しくなっています。日本国内から発送して価格競争力を武器にする戦略はすでに限界であり、今後は現地法人の設立または現地パートナーとの提携が前提となる時代です。
進出前に押さえるべき準備と情報源
認証準備：BPOM認証＋ハラール認証の取得は数ヶ月かかるため、進出初期から並行対応が必須です。
ローカライズ設計：肌色、香り、使用感の好みが日本と異なるため、製品テストが必要です。またハラールの義務化に伴い、製品ラベル表記等の対応が必要です。
情報収集源：
ZAP Beauty Index：消費者の重視点が価格から成分・安全性へ変化していることがわかる。
Beauty Journal：トレンドや販売動向を把握可能。
まとめ
インドネシア市場は確かに魅力的ですが、「Made in Japanだから売れる」は通用しません。
文化的背景や宗教、消費スタイルの違いを理解したうえで、現地に適応した商品戦略・販路設計・法令対応が成功の鍵です。
まずは現地パートナーの選定と、SociollaやBeautyHaulといった美容特化型ECへの出店を起点とし、現地法人設立やローカル認証取得、法令遵守体制の構築を前提とした中長期のロードマップを描くことが、持続的な成功につながるでしょう。
参考文献
1* Sociolla
2* BeautyHaul
