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25.5.12 東南アジアの主要な国別ビジネスコスト比較
25.05.12東南アジアは、日本企業をはじめとする多くの外国企業にとって魅力的な市場です。製造業からIT業界まで、多岐にわたる業界が進出を考えていますが、ビジネスコストは国や都市によって大きく異なります。ここでは、各国の労働コストや税制、不動産コスト、公共料金などを比較し、業界ごとに適したビジネス展開のヒントを探ります。
労働コストの違いがもたらす影響
東南アジアの国々は、一般的に労働コストが日本や欧米諸国に比べて低く、特に製造業にとっては大きなメリットです。しかし、国によって賃金水準や労働市場の特徴に違いがあり、進出先の選定には慎重な判断が求められます。ベトナム
ベトナムは2024年の平均月給は17,300,000 VND(約10万円)*1と低く、若年層が多く技術力のある人材が豊富です。国内は能力による収入格差が生じています。単純作業が必要な製造業にとって魅力的な市場となっています。製造コストを抑えながら、高品質な製品を生産できるという利点があります。また、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界も拡大しており、IT関連業務のコスト削減にも役立っています。インドネシア
インドネシアの2024年の平均月給は12,200,000 IDR(約11万円)*1 で、ベトナムよりは高いですが、日本に比べると依然として格安です。ただし、労働者保護が強化されており、解雇が難しいため、長期的な雇用を見据えた人材育成が重要です。タイ
タイの新入社員の平均給与は約20,000THB(約9万円)*3 ですが、長年にわたる外国企業の進出でインフラが整備されています。製造業にとって非常に安定した環境が提供されており、自動車産業をはじめとする多くの製造業が拠点を構えています。フィリピン
フィリピンの2024年の平均月給は44,800 PHP(約11万円)*1 で、特に英語力の高い人材が多く、コールセンターやBPO業界での需要が急速に伸びています。安価な労働力を活用できるだけでなく、英語による業務が多い企業にとって重要な拠点となります。マレーシア
マレーシアの2023年の平均月給は2,600リンギット(約9万円)*2と労働コストは安価です。多様な労働力があり、特に製造業や物流業界には魅力的な市場となっています。シンガポール
シンガポール2024年の平均月給は8,480 SGD(約94万円)*1で、東南アジアの中では群を抜いて高水準です。教育水準も高く、専門職やIT人材が多く存在しています。外資企業が多く進出しており、シンガポールにおけるビジネス展開には大きな魅力があります。不動産コストとインフラの整備状況
進出先を決定する際に重要な要素の一つとして、不動産コストがあります。事業拠点や製造施設の賃貸価格は国によって大きく異なります。シンガポール
シンガポールは、東南アジアで最も高額な不動産市場の一つです。賃料は高いものの、優れたインフラと法制度、ビジネス環境が整っており、特にIT企業や金融業界にとって非常に魅力的です。法人税率は17%と、他の国々と比較しても低いため、コストを抑えつつもビジネスを展開しやすい環境です。ベトナムとインドネシア
ベトナムやインドネシアは、シンガポールに比べて賃料が非常に低く、製造業や物流拠点として適しています。ハノイやホーチミンなどの主要都市では外資系企業の進出が進んでおり、それに伴ってインフラも改善されていますが、一部地域ではインフラ整備が遅れているため、慎重に進出地域を選定する必要があります。法人税と公共料金
法人税率もビジネスコストに大きな影響を与える要素です。特にIT企業やスタートアップなど、フレキシブルな業界にとっては税制優遇措置が進出先の選定において重要です。シンガポールの法人税率
シンガポールは法人税率17%で、外資企業にとって非常にフレンドリーな税制を提供しています。IT企業や金融業界がシンガポールに拠点を設けることが多い理由です。マレーシアの法人税率
マレーシアの法人税率は24%と高めですが、多様な労働力と地理的な優位性があり、製造業や物流業界にとっては魅力的な市場です。特にクアラルンプールは不動産コストも抑えられており、ビジネスコストのバランスが良い国と言えます。公共料金
公共料金については、タイやベトナムは比較的安価で、製造業にとってはコスト削減が期待できます。ただし、インフラ整備が遅れている地域もあるため、進出先の都市や地域によっては追加投資が必要になることがあります。まとめ:製造業とIT企業の最適な進出先
東南アジアのビジネスコストを比較する際、製造業とIT企業では適した進出先が異なります。 製造業にとっては、賃金が低く、労働力が豊富なベトナムやインドネシア、マレーシアが魅力的です。これらの国々では、低コストで高品質な製造が可能であり、特に若い労働力を活用した生産拠点の設立が有利です。また、不動産コストも抑えられるため、製造施設の設置がしやすい環境です。一方で、IT企業やスタートアップにとっては、賃金の高さよりも税制優遇措置やインフラ整備が重要です。この観点からは、法人税率が低く、インフラが整ったシンガポールが最適な選択肢となります。また、シンガポールはアジア全域へのアクセスが良く、ビジネスの拠点としても非常に優れています。 最終的には、企業のビジネスモデルや目指す市場、業界の特性に応じて進出先を選定することが成功の鍵です。東南アジアの各都市のビジネスコストを総合的に比較し、最適な進出戦略を立てることが重要です。
参考文献
*1 salary explorer
*2 マレーシア統計局|2023年第1四半期の正規雇用者の月額賃金統計
*3 マレーシア労務ニュース
※1ドル143円の場合