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25.4.14 日本の人手不足解消へ、ASEAN進出の新戦略
25.04.14日本国内では深刻な人手不足が続いており、特に製造業やサービス業では労働力の確保が経営課題となっています。この状況に対し、ASEAN(東南アジア諸国連合)への拠点展開が有効な解決策となっています。
2024年のジェトロ(日本貿易振興機構)の調査*1によると、在アジア・オセアニア地域の日系企業のうち672社(全体の15.6%)が、過去5年間で他国から生産移管を受けたことが明らかになりました。特にASEANでは、日本や中国からの生産移管を受け、工場の拡張や新規生産ラインの導入が進んでいます。
このように日本からASEANへの生産移管が進んでいますが、一つのメリットとして現地での人材確保が重要な要素となっています。本記事では、日本の人手不足を背景に、ASEAN進出がどのように人材確保の課題を解決できるのかを解説します。1. 若年労働力の豊富さ
日本国内の労働人口は減少傾向にあり、特に製造業では技術継承の問題が顕著です。一方、ASEAN地域では人口増加が続いており、特にベトナムやインドネシアでは若年層の労働力が豊富です。例えば、IMF*2によるとベトナムの平均年齢は約32歳と日本の平均年齢約49歳よりも圧倒的に若く、労働市場が活発です。この若い労働力を活用することで、持続的な生産体制を構築することができます。2. 技能実習制度を活用した人材の確保
日本では技能実習制度を通じてASEANからの労働者を受け入れていますが、実習後は帰国し、母国の日本企業の拠点で活躍するケースが増えています。例えば、インドネシアやフィリピンの技能実習生が日本で技術を習得し、帰国後に現地の工場でリーダーや管理職として活躍する事例が増えています。これにより、日本の品質基準を維持しながら、現地での人材育成も進めることができます。3. 労働コストの安定性と雇用の確保
日本国内では最低賃金の上昇が続いており、企業の人件費負担が増加しています。一方、ASEAN地域では比較的低コストで労働力を確保でき、長期的なコスト管理が可能です。ジェトロによると2023年時点のベトナムの工場労働者の月給は日本円で約4万円*3 であり、圧倒的に安価であることがわかります。これにより一定の賃金水準で安定した雇用を維持できます。4. 現地でのキャリアパス形成と定着率の向上
日本企業がASEANで直接雇用を行うことで、現地労働者にとって魅力的なキャリアパスを提供できる点も大きなメリットです。特に、日本での技能実習や研修を経験した労働者を現地工場で幹部候補として採用することで、企業への定着率が向上し、安定した生産体制の構築が可能になります。まとめ
日本の深刻な人手不足に対して、ASEANでの人材確保は非常に効果的な戦略です。若年層の豊富な労働力、技能実習制度を活用した人材育成、低コストでの雇用確保、現地労働者の定着率向上など、多くのメリットがあります。2025年以降も、日本企業にとってASEANの人材活用は重要なテーマとなるでしょう。参考文献
*1 ジェトロ | 日本や中国からASEANへの生産移管進む
*2 IMF | 国際通貨基金
*3 ジェトロ | 「海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」