Blogブログ
-
25.3.26 2026年に日本を追い抜くASEANの経済力
25.03.26近年、ASEAN(東南アジア諸国連合)の経済成長が目覚ましく、日本を追い抜く勢いで拡大しています。IMF(国際通貨基金)によると、2026年にはASEAN全体の名目GDPが日本を上回ると予測されています。*1 *2*4
本記事では、ASEANの成長要因と日本企業、特に中小企業がASEAN市場をどのように活用できるかについて解説します。ASEANの経済成長の現状
経済規模の拡大
IMFによる2023年のデータによると、日本の名目GDPは約4兆2308億USドル、ASEAN全体では約3兆8620億USドルと、日本に迫る勢いです。ASEAN全体の一人当たりGDPは約5,696USドルで、日本(約33,949USドル)と比較するとまだ差はありますが、成長率の高さを考えると今後ますます差が縮まる可能性があります。*1*2ASEAN発足した1967年当初、日本のGDPの10分の1程度だったASEAN経済は、過去20年間で大きく発展し、現在ではほぼ日本と肩を並べる規模に成長しました。特にカンボジア、インドネシア、フィリピン、ベトナムの成長率は年5%以上と高く、2028年にかけてもこの勢いは続くと見込まれています。*3
経済格差の現状
各国の2023年の一人当たりGDPは以下の通りです。*2
シンガポール:約87,886USドル
ブルネイ:約34,360USドル
マレーシア:約13,034USドル
タイ:約7,297USドル
インドネシア:約5,108USドル
フィリピン:約3,859USドル
ベトナム:約4,316USドル
カンボジア:約1,915USドル
ラオス:約1,878USドル
ミャンマー:約1,381USドル日本:約33,949USドル
シンガポールやブルネイは日本以上の水準ですが、ミャンマーやカンボジアなどの国は依然として低水準です。ASEAN域内の経済格差は依然として大きいものの、過去20年でASEAN全体での一人当たりGDPは約4倍に増加しました。
今後もASEAN全体での成長が予測されているため、ASEAN中間層である「マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピン・ベトナム」の5カ国においては生活水準も日本とほとんど変わらない未来は近いといえます。ASEAN経済成長の要因
1. 貿易自由化と域内市場の統合
ASEANは貿易自由化を積極的に進め、関税撤廃や投資の自由化を推進しています。これにより、企業はより自由にASEAN市場に参入できる環境が整備されています。2. ASEAN経済共同体(AEC)の発足
2015年に発足したAEC(ASEAN Economic Community)は、物品・サービス・投資・熟練労働者・資本の移動を自由化し、単一市場を形成することを目指しています。これにより、ASEAN諸国間の経済協力が強化され、成長を後押ししています。*33. 若年層の多さと労働力の供給
ASEAN諸国は人口増加が続いており、特に労働力が豊富なことが強みです。人口の中央値は若く、生産年齢人口が拡大し続けることで、今後も経済成長を後押しすると考えられます。中小企業にとってのビジネスチャンス
1. 製造業の展開
ASEANは人件費が比較的安く、製造拠点としての魅力があります。特にベトナムやインドネシアは製造業の進出が進んでおり、日本企業にとっての生産拠点として有望です。また、AECの関税撤廃により、ASEAN内での生産・販売の自由度が高まり、効率的なサプライチェーン構築が可能になっています。2. 消費市場の開拓
ASEANは各国で一人当たりのGDPに格差はあるものの、人口自体ASEAN全体で日本の約5倍と多いため、日本よりも富裕層の数が多い地域であるといえます。AEC発足や関税撤廃によりASEAN圏内では国家間を跨ぐコストが低いため、ASEANに1つ拠点を持てばASEAN全域への市場参入が可能です。特に都市部では消費意欲が高く、日本製品の信頼性も評価されているため、高品質な商品やサービスの提供がチャンスとなります。3. デジタル化の活用
ASEANではコロナウイルスの影響を受けスマートフォンの普及・Eコマース市場(shopee)が急拡大し続けています。越境ECを活用することで、日本企業が国内にいながらASEAN市場へアクセスすることが可能です。さらに、現地は若年層も多くデジタル化が進んでいるため、オンラインを活用した販路開拓やパートナーとの連携が進められる環境が整っています。例えば、ASEAN各国ではSNSやZoomやGoogleMeetなどオンラインツールが普及しており、これを活用することで、より効果的に市場参入が可能になります。(関連記事1:マレーシアで急成長するデジタルトレンド)
(関連記事2:シンガポール進出で重要なオフラインでの戦略)まとめ
ASEANは経済規模の拡大、市場統合、人口増加など多くの要因により、日本を追い抜く勢いで成長を続けています。中小企業にとっても、製造拠点の確保、消費市場の開拓、デジタル化の活用など、海外進出を効果的に進める様々な手法が存在します。
日本国内市場が停滞する中、ASEANへの進出を検討することは、今後の成長戦略として重要な選択肢となるでしょう。参考文献
*1 IMF 国際通貨基金
*2 国際機関日本アセアンセンター ひと目で分かる日ASEAN基本情報
*3 The ASEAN Secretariat(ASEAN事務局)
*4 日経ビジネス データで見るASEAN 続く人口増、GDP日本を逆転へ