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25.2.27 海外進出成功の鍵!競争に勝つための独自性と戦略とは?

25.02.27

1. 海外市場の現実:競争の激化と独自性の重要性
多くの企業が海外進出を検討する際、「市場が大きいから売れるはずだ」「広告費をたくさんかければ知名度が上がり、販売につながるだろう」と考えがちです。しかし、海外市場にはすでに数多くの同業他社が存在し、市場規模の拡大とともに競争も激化しています。特に英語圏では言語の壁がない分、世界中の企業と直接競争することになります。

2024年、米Amazonでは年間6379億5900万ドルもの売上を記録*1 し、多数の企業がAmazon上で販売を行っています。直近の四半期ベースでは、世界で最も売上高が大きい企業が米小売り大手ウォルマートから米アマゾン・ドット・コムに代わったことが明らかになるなど、市場のグローバル化は進んでいます。*2 しかし、成功している企業の多くは独自の技術やブランド力、または価格競争力を備えています。単に広告費をかけるだけでは、価格競争に巻き込まれ、利益率が低下するリスクが高いのです。

 

2. 日本市場の特殊性と国内成功の誤解
日本市場は「日本語の壁」によってある程度守られています。国内では競争相手が限定されているため、「国内で売れなくても海外なら売れるかもしれない」と考える企業も少なくありません。しかし、この考え方は非常に危険です。
例えば、日本国内で販売されている家電製品は、国内メーカーが多くを占めていますが、海外では韓国のサムスンやLG、中国のハイセンスなどが強い競争力を持っています。特にコストパフォーマンスやマーケティング力に優れた企業が市場を席巻しており、日本メーカーが後発で参入しても差別化が難しいのが現実です。

 

 

3. 独自性があれば高単価でも勝機はある
一方で、独自性や付加価値のある製品やサービスは、海外市場でも高い評価を受ける可能性があります。特に、世界には支払い能力の高い富裕層が多く存在し、良い商品やサービスには惜しみなくお金を払う消費者がいます。

例えば、日本の高級包丁メーカー「堺孝行」は、職人の手による高品質な製品を提供し、欧米のプロフェッショナルシェフから高い評価を受けています。*3 また、日本酒メーカーの「獺祭」は、海外市場でのブランド戦略を成功させ、高価格帯ながらも人気を博しています。2023年4月からは米国ニューヨーク州のハイドパークに酒蔵を建設し、純米大吟醸「獺祭」の生産を始めています。*4 これらの企業に共通するのは、「品質・ブランド力・独自性」の3つの要素をしっかり確立している点です。

 

4. プロダクトアウトの重要性とマーケットインの限界
プロダクトアウト・マーケットインという言葉はご存じでしょうか。
プロダクトアウト:企業が自社の技術や方針に基づいて製品を開発・提供するアプローチのこと。
マーケットイン:市場や顧客のニーズを第一に考え、それに応じた製品を開発・提供するアプローチのこと

海外市場で成功するためには、「プロダクトアウト」の考え方も重要になります。「マーケットイン」というアプローチでは、市場のニーズを徹底的に調査し、それに基づいて商品やサービスを開発します。しかし、全く形のない状態・最初から市場調査を行うと、戦略構築に膨大な時間がかかり、最悪の場合、具現化できないリスクもあります。

そこで重要なのが、「まずは今できることを明確にする」ことです。初期段階でプロダクトアウトのアプローチを取り、製品やサービスを磨き上げた上で市場に投入し、その後のフィードバックをもとにマーケットインの手法で進化させていくことが望ましいです。

例えば、アップルのiPhoneは、最初から「市場のニーズ」に合わせて開発されたわけではなく、スティーブ・ジョブズのビジョンによって生まれました。その後、ユーザーのフィードバックを取り入れながら進化を続け、世界中で圧倒的な人気を誇る製品となりました。

 

5. 国を絞る必要があるのか?
海外市場での展開において、国を選定するかどうかは、事業の形態によって異なります。

現地製造拠点・現地倉庫を運用する場合
国を選定する必要があり、その国の経済状況・物流インフラ・税制・関税・市場規模などを考慮する必要があります。
例えば、製造コストの低い東南アジア諸国が選ばれることが多いです。

海外市場への販路開拓を目的とする場合
特定の国に絞る必要はなく、販売代理店や卸先へのアプローチを全世界規模で行うことが可能です。
EC販売を活用し、英語圏向けに販売を開始することで、どの国に需要があるのかを実際の売上データから把握し、最適な市場を見極めることができます。
例えば、AmazonやShopifyを活用し、広範な市場に向けて製品を販売する手法が有効です。

 

まとめ
海外進出を成功させるためには、「競争優位性・独自性の確立」が不可欠です。国内で売れない商品が海外で売れるという幻想は捨て、しっかりとした戦略をもって市場に挑む必要があります。一方で、独自性のある商品やサービスであれば、海外の富裕層をターゲットに高価格でも成功する可能性は十分にあります。
企業は「プロダクトアウト」でまず形を作り、その後「マーケットイン」で進化させるという柔軟なアプローチを取りながら、海外市場での成長を一緒に目指していきましょう。

 

参考文献
1* Amazonの2024年売上高は6380億ドルで11%増、日本円換算では約96兆円 | Yahoo News
2* 売り上げ世界首位、Amazonがウォルマートから奪取 | 日本経済新聞
3* 青木刃物製作所 欧米・アジアに和包丁 | 日本経済新聞
4* 米国で挑戦する「獺祭」の旭酒造とSMBCグループ。その意外な共通項とは | DIAMOND ONLINE

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