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25.1.8 インドネシアにおけるハラール義務化

25.01.08

インドネシアは、世界最大のムスリム人口を抱える国として、ハラール市場において非常に重要な位置を占めています。2019年以降、同国ではハラール認証の取得が段階的に義務化されており、2024年10月には食品・飲料分野で完全義務化が実現しました。さらに、2026年には衣類、化粧品、医薬品など他分野への義務化が予定されています。今回は今からインドネシア市場への参入を目指す企業にとって知っておくべき「ハラールの現状」について解説いたします。

 

ハラール認証とは?
ハラール認証とは、イスラム教の戒律に則って調理・製造された製品やサービスであることを確認し、認証する制度です。イスラム教を信仰する「ムスリム」が多い地域で信頼を獲得する重要な指標となります。インドネシアは人口の約9割がムスリムであると言われており、インドネシア進出には欠かせない認証となっています。

 

ハラール義務化の背景と段階的なスケジュール
インドネシアでのハラール義務化は、ムスリム消費者の信頼を確保し、国内外のハラール市場で競争力を強化することを目的としています。食品・飲料分野では、2024年10月17日をもってハラール認証が完全義務化され、未認証の製品は市場に流通できなくなりました。

次の段階として、化粧品や医薬品、衣類、医療機器といった分野でも2026年10月17日から義務化が適用される予定です。このような規制の拡大により、ハラール認証の取得が事実上、インドネシア市場参入の必須条件となっています。

 

※飲食業界以外でもハラール認証が求められます…

 

認証取得のプロセスと中小企業への影響
ハラール認証は各国の政府機関がそれぞれ管理しており、世界に複数のハラール認証が存在しています。
インドネシアでは、ハラール認証の管理を担当する機関がMUI(インドネシア・ウラマー評議会)からBPJPH(ハラール製品保証庁)へ移管されました。BPJPHは認証プロセスを簡素化する一方、厳格な基準を設けています。

認証取得には以下の手順が必要です:

①ハラール保証システム(SJPH)の導入:原材料や製造工程をイスラム法に準拠させる体制を構築する必要があります。
②ハラール研修の受講:認証基準やプロセスを理解するため、公式トレーニングを受講することが求められます。
③定期監査への対応:認証取得後も基準遵守を確認するための定期的な監査が行われます。

中小企業にとって、これらの要件はコストと時間の負担を増大させる可能性があります。
その一方で、商品の差別化が難しい企業にとってこの制度の導入は、製品の付加価値を高める機会とも言えます。
BPJPHは、世界15カ国の36の認証機関と相互認証を結んでいます。日本国内では、以下の認証機関が対応可能です。

■宗教法人日本ムスリム協会(JMA)
URL: https://www.muslim.or.jp/

 

まとめ
インドネシア市場に参入する日本企業は、幅広い業界においてハラール認証が必要になってきます。またインドネシア現地の制度や規制が刻一刻と変化しているため最新情報の収集し、ハラール認証の取得に向けた準備を進めることが不可欠です。まずは国内の認証機関を活用し、現地市場での認証プロセスをスムーズに進める体制を整えましょう。

 

参考文献
・​​ASEAN主要国におけるハラール認証制度比較調査 JETRO
インドネシア基礎データ 外務省

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