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24.2.27 Amazon〜サプライチェーンにおける楽天との比較〜

24.02.27

Amazonと楽天は、皆さんご存知の通り両社ともEC業界において国内大手と言えますが、両社のサプライチェーン戦略には顕著な違いがあります。今回はAmazonと楽天のサプライチェーンを比較し、各社が成功を収めるためにどのように異なるアプローチを取っているかを探ります。

 

1.在庫管理とフルフィルメント
Amazonでは基本的に自社で在庫を抱え、商品の入荷から在庫保管、注文後の梱包出荷まで自社の倉庫(=フルフィルメントセンター)で行います。これにより、素早い配送と顧客満足度の向上を実現しています。​​Amazonマーケットプレイスと呼ばれる第三者が出品するサービスも提供しているため、全てが自社在庫ではありませんが、販売事業者に対して、在庫配送代行サービスであるFBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)を提供し、配送の品質をアマゾンの高い「基準」に保つ施策が採られています。
一方楽天は、インターネット上での売買の場所のみを提供してきたため、注文が入った場合の梱包・配送等の物流業務は基本的に各出店店舗が担うことになります。自社で在庫を管理するには倉庫スペース、人件費、保管コスト、損失品のリスクなどがかかるため、在庫管理しない選択はコスト削減やリスク回避ができたとも言えます。
配送スピードは出品者に依存していますが、出品者のペースで販売できるとも言えるでしょう。出品者にとっては市場の動向に合わせた在庫管理や新商品の出品が簡単に行えるメリットがあります。

 

 

2.ロジスティクス
Amazonは自社配送網を整備し、配送スピードとコスト管理に優れています。
Amazonは2023年7月に栃木、群馬、富山、山梨、静岡、奈良、岡山に初のデリバリーステーションを開設することを発表しました。11拠点の新設を予定しており、Amazonのデリバリーステーションは日本国内で50カ所以上となります。Amazonの配送網の拡充により700万点以上の商品の翌日配送も可能になり更なる利便性向上が期待されています。
Amazonでは商品を梱包するフィルメントセンターから各地のデリバリーステーションにまとめて配送され、その後トラック運転手に引き渡すという仕組みを構築しています。デリバリーステーションが増えることで、トラック運転手にとっても配送エリアが絞られるため迅速かつ効率的に配送できるでしょう。
一方、楽天は全て外部の物流に依存しており、その効率性にはばらつきがあります。2021年には日本郵政と業務提携し物流強化を宣言していますが、現時点では以前から時間とコストをかけてきたAmazonの配送網が優位と言えます。

 

3. グローバル展開
Amazonでは200以上の国と地域で数億以上の顧客による購買が行われています。一方楽天は主に日本国内に焦点を当てており、国際的なプレゼンスは現時点では限定的です。
Amazonの販売における基本的な仕組みは世界共通であるため、海外進出が簡単です。
フルフィルメントセンターに商品を預かって出荷配送を代行するFBAサービスは海外でも日本と同様に用意されており、日本からの輸出業者の紹介も行っています。国内で販売するのとほとんど変わらない手数料で海外進出ができてしまうのです。日本のAmazonで成功体験を積み海外進出を果たしている販売事業者は、既に数万店に上ります。

 

まとめ
いかがでしたか。Amazonは自社が管理するサプライチェーンの構築に大規模な先行投資を行った結果、迅速なサービス・顧客満足を叶えています。楽天は自社からサプライチェーンを切り離すことでコストとリスクの削減・出品者の自由を保っています。どちらも現時点では国内で需要があるプラットフォーマーであることは間違いありません。しかし、販売事業者が海外進出を視野に入れている場合、Amazonのような世界共通のプラットフォームの活用がより近道と言えるでしょう。

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